「歯ぎしりがひどいと言われたことがあるけれど、そんなに大きな問題なのだろうか」——このように、歯ぎしりを軽く考えている方は少なくないかもしれません。しかし、歯ぎしりは想像以上に歯へ大きな負担をかけており、場合によっては歯が割れてしまうこともあります。今回は、歯ぎしりで歯が割れることがあるのか、詳しく解説していきます。
歯ぎしりで歯が割れることは実際にある
結論から言うと、歯ぎしりによって歯が割れる、あるいはヒビが入るということは、実際に起こり得ることです。歯ぎしりの際にかかる力は、通常の食事の際に噛む力よりもはるかに大きいとされており、この強い力が繰り返し歯にかかり続けることで、歯質が徐々にダメージを受け、最終的に破折(割れる)に至ることがあります。
歯ぎしりが歯にダメージを与えるメカニズム
通常の何倍もの力がかかる
食事の際に噛む力は、通常であれば必要な範囲にコントロールされていますが、歯ぎしりの際にはこのコントロールが働かず、無意識のうちに非常に強い力で歯を噛みしめたり、こすり合わせたりしてしまいます。この力は、通常の噛む力の数倍に達することもあるとされています。
睡眠中は無意識に力がかかり続ける
日中の食いしばりであればある程度自分で気づいて力を緩めることができますが、睡眠中の歯ぎしりは、自分でコントロールすることができません。そのため、一晩を通して強い力が歯に繰り返しかかり続けることになり、蓄積されるダメージも大きくなります。
特定の方向への繰り返しの力
歯ぎしりは、上下の歯をこすり合わせるような横方向の動きを伴うことが多く、歯にとっては通常想定されていない方向からの力がかかることになります。この不自然な方向からの力の蓄積が、歯質を弱らせ、亀裂や破折につながりやすくなります。
歯ぎしりによって歯が割れやすい部位
神経を取った歯
神経を取った歯は、栄養供給が絶たれることで歯質がもろくなりやすいとされています。歯ぎしりの強い力がかかることで、通常の歯よりも破折のリスクが高まります。
大きな詰め物や被せ物がある歯
歯を大きく削って詰め物や被せ物をしている場合、残っている天然の歯質が少なくなっていることがあり、歯ぎしりの負荷に耐えきれずに割れやすくなることがあります。
すでに虫歯treatment等でダメージを受けている歯
過去に虫歯治療を受けている歯は、健康な歯に比べて構造的に弱くなっていることが多く、歯ぎしりの影響を受けやすい傾向があります。
歯ぎしりによる歯の破折の症状
噛んだときの鋭い痛み
歯にヒビや亀裂が生じている場合、特定の場所で噛んだときに鋭い痛みを感じることがあります。
冷たいものへの敏感さ
亀裂を通じて刺激が伝わりやすくなることで、冷たいものがしみるといった症状が現れることがあります。
歯の一部が欠ける
歯ぎしりによる負荷が蓄積し、ある時点で歯の一部が欠けてしまうことがあります。
完全な破折
進行すると、歯が根元から真っ二つに割れてしまうような深刻な破折に至ることもあります。
歯ぎしりが引き起こすその他の影響
歯が割れるという直接的な影響以外にも、歯ぎしりはさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
エナメル質のすり減り
歯ぎしりによって歯の表面が徐々にすり減り、知覚過敏の症状につながることがあります。
顎関節への負担
歯ぎしりは顎関節にも大きな負担をかけ、顎関節症を引き起こすリスクを高めます。
歯根膜への炎症
歯を支える歯根膜にも過剰な負担がかかり、歯が浮いたような違和感につながることがあります。
肩こりや頭痛
歯ぎしりによる咬筋や側頭筋の過緊張は、筋膜を通じて首や肩の筋肉にも影響を及ぼし、慢性的な肩こりや頭痛を引き起こすことがあります。
歯ぎしりによる歯の破折を防ぐための対策
就寝時のマウスピースの活用
歯ぎしりや食いしばりの自覚がある方には、歯科医院で作成するマウスピース(ナイトガード)の使用が最も効果的な対策の一つです。マウスピースを装着することで、歯にかかる力を分散させ、直接的なダメージを軽減することができます。
ストレスケアと十分な休息
歯ぎしりの背景にはストレスが深く関わっていることが多いため、十分な睡眠やリラックスする時間を意識的に確保することが大切です。
日中の食いしばりに気づく
日中、無意識に歯を噛みしめていないか、時々意識を向けてみましょう。気づいたときに上下の歯を離すことを習慣づけることで、負担を軽減できます。
定期的な歯科検診
歯ぎしりによる歯へのダメージは、初期段階では自覚しにくいものです。定期的に歯科検診を受けることで、歯のすり減りや微細なヒビを早期に発見し、適切な対策につなげることができます。
すでに歯にヒビや破折が見つかった場合の対応
軽度のヒビの場合
エナメル質の表面にとどまる軽度のヒビであれば、経過観察や、歯を保護するための処置で対応できることがあります。
神経にまで達している場合
症状の程度によっては、神経の治療が必要になることがあります。
大きく破折している場合
破折の程度によっては、被せ物での修復や、場合によっては抜歯が必要になることもあります。
歯ぎしりの自覚がない場合の気づき方
歯ぎしりは睡眠中に起こることが多いため、自分では気づきにくいことがあります。以下のようなサインがある場合は、歯ぎしりの可能性を考えてみましょう。
・朝起きたときに顎がだるい、疲れている感じがする
・家族から歯ぎしりの音を指摘されたことがある
・奥歯がすり減っている、欠けやすい
・頬の内側や舌の側面に歯の跡がついている
こんな場合は歯科医院に相談を
以下のような場合は、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。
・噛んだときに特定の場所で鋭い痛みを感じる
・歯のすり減りや欠けが目立つようになった
・歯ぎしりの自覚や家族からの指摘がある
・冷たいものがしみるようになった
まとめ
歯ぎしりによって歯が割れることは、実際に起こり得るリスクです。歯ぎしりの際にかかる強い力が繰り返し歯に負担をかけることで、亀裂や破折につながることがあります。特に神経を取った歯や、大きな詰め物・被せ物がある歯は、破折のリスクが高い傾向にあります。マウスピースの活用やストレスケアを心がけながら、定期的な歯科検診によって早期に歯の状態を確認し、大切な歯を歯ぎしりのダメージから守っていきましょう。
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