「いびきをかく人は口臭も強い」という話を聞いたことはありませんか。一見関係がなさそうに思える「いびき」と「口臭」ですが、実はこの二つには深いつながりがあることが分かっています。今回は、いびきと口臭の関係について詳しく解説していきます。
いびきとはどのような現象か
いびきは、睡眠中に呼吸をする際、喉や鼻の奥の空気の通り道が狭くなることで、その部分が振動して音が発生する現象です。多くの場合、口呼吸を伴っていることが特徴で、この口呼吸こそが、いびきと口臭を結びつける大きな要因となっています。
いびきが口臭を悪化させるメカニズム
口呼吸による口腔内の乾燥
いびきをかいている状態は、多くの場合、口が開いた状態での口呼吸を伴っています。口呼吸が続くと、呼吸によって取り込まれる空気が直接口腔内の粘膜に触れ続けることになり、水分の蒸発が進みやすくなります。口腔内が乾燥すると、唾液による自浄作用が十分に働かなくなり、口臭の原因となる細菌が繁殖しやすい環境が作られてしまいます。
唾液の自浄作用の低下
唾液には、口の中の細菌や食べかすを洗い流す自浄作用、口腔内を弱アルカリ性に保ち酸を中和する働きなど、口臭を防ぐ上で重要な役割があります。いびきによる口呼吸で口腔内が乾燥すると、この唾液の働きが十分に発揮されず、口臭が悪化しやすくなります。
舌根の沈下と口腔内細菌への影響
いびきをかいているとき、特に仰向けで眠っている場合、舌の付け根(舌根)が喉の奥に落ち込みやすくなることがあります。これにより気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなりますが、同時に口腔内の空気の流れにも影響を与え、細菌が繁殖しやすい環境を作ることがあります。
舌苔の蓄積
口呼吸による乾燥は、舌の表面に付着する「舌苔」の蓄積を促進することがあります。舌苔に含まれる細菌が、たんぱく質を分解する過程でにおいの元となるガスを発生させるため、これが口臭を強くする一因となります。
いびきの原因となる要因
いびきが起こりやすくなる背景には、以下のようなさまざまな要因が関わっています。
肥満
首や喉周りに脂肪がつくことで、気道が狭くなり、いびきが起こりやすくなることがあります。
鼻づまり
花粉症や風邪、慢性的な鼻炎などによって鼻の通りが悪くなると、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。
アルコールの摂取
就寝前の飲酒は、喉の筋肉を弛緩させ、気道を狭くする作用があるため、いびきを悪化させる要因となることがあります。
睡眠時の姿勢
仰向けで眠ると、舌根が喉の奥に落ち込みやすくなり、いびきをかきやすくなる傾向があります。
加齢による筋力低下
加齢とともに喉や舌周りの筋力が低下すると、気道が狭くなりやすく、いびきが起こりやすくなることがあります。
顎の形状や歯並び
顎が小さい、あるいは後退している場合、気道が狭くなりやすく、いびきの原因となることがあります。
睡眠時無呼吸症候群との関連にも注意
いびきの中には、単なる音の問題にとどまらず、「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれる、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう病態が隠れている場合があります。この場合、口呼吸の時間がより長くなり、口腔内の乾燥や口臭がさらに悪化しやすくなることが考えられます。いびきが特に大きい、呼吸が止まっているように見える、日中の強い眠気があるといった場合は、専門的な検査を受けることをおすすめします。
いびきによる口臭悪化のサイン
以下のような特徴に心当たりがある場合、いびきが口臭の背景にある可能性を考えてみるとよいでしょう。
・朝起きたときの口臭が特に強い
・家族からいびきを指摘されたことがある
・朝起きたときに口や喉がひどく乾燥している
・いびきをかいた翌朝は口の中がネバネバする
いびきによる口臭を軽減するための対策
鼻呼吸を促す工夫
鼻づまりがある場合は、耳鼻科での治療を検討することで、鼻呼吸をしやすい状態に整えることができます。鼻呼吸が促進されることで、いびきそのものの軽減にもつながる可能性があります。
就寝時の姿勢を見直す
仰向けではなく横向きで眠ることを意識することで、舌根の沈下を軽減し、いびきや口呼吸を和らげられることがあります。
就寝前のアルコールを控える
喉の筋肉を弛緩させるアルコールは、就寝前の摂取を控えることで、いびきの軽減につながる可能性があります。
室内の湿度を保つ
寝室の湿度を適切に保つことで、口呼吸による口腔内の乾燥をある程度緩和することができます。加湿器の活用も効果的です。
就寝前の水分補給
適度な水分補給を行うことで、睡眠中の口腔内の乾燥を軽減し、口臭対策にもつながります。
起床後のケアを徹底する
朝起きたら、まずコップ一杯の水を飲み、その後丁寧に歯磨きを行うことで、睡眠中に蓄積した口腔内の細菌や乾燥による影響をリセットしましょう。
舌ケアを取り入れる
舌苔が気になる場合は、専用の舌ブラシを使って優しくケアすることも、口臭対策として効果的です。
適正体重の維持
肥満がいびきの原因となっている場合、適度な運動やバランスの取れた食事を通じて、適正体重を維持することも、いびきの軽減につながる可能性があります。
歯科医院で相談できること
いびきや口呼吸が習慣化している場合、歯科医院でマウスピース型の装置(スリープスプリント)を用いた対応を検討できることがあります。下顎の位置を調整することで、気道を確保しやすくし、いびきの軽減につながる場合があります。気になる方は、歯科医院で相談してみるとよいでしょう。
こんな場合は医療機関への相談を
以下のような場合は、歯科医院だけでなく、耳鼻咽喉科や睡眠外来などの医療機関への相談も検討しましょう。
・いびきが非常に大きい、または呼吸が止まっているように見える
・日中に強い眠気を感じることが多い
・いびきや口臭の対策をしても改善が見られない
・鼻づまりが慢性的に続いている
まとめ
いびきと口臭には、口呼吸による口腔内の乾燥という共通の要因を通じて、深い関係があることが分かっています。いびきをかいている間は唾液による自浄作用が十分に働かず、細菌が繁殖しやすい環境が作られることで、口臭が悪化しやすくなります。鼻呼吸を促す工夫や就寝時の姿勢の見直し、室内の湿度管理などを心がけることで、いびきと口臭の両方の軽減につなげることができます。症状が気になる場合は、歯科医院や医療機関に相談し、質の良い睡眠と爽やかな息を目指していきましょう。
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