目次
はじめに
「虫歯の治療で神経を取ると言われた」多くの人が不安を感じる言葉です。歯の神経とは何か、なぜ取る必要があるのか、取るとどうなるのか、疑問は尽きません。実は、歯の神経を残すか残さないかは、歯の寿命に大きく影響します。神経のある歯は生きており、栄養が供給され、強く健康な状態を保てます。一方、神経を取った歯は脆くなり、変色し、割れやすくなります。そのため、歯科医師はできる限り神経を残す努力をします。しかし、虫歯が深く神経まで達している場合、感染が広がるのを防ぐために、神経を取らざるを得ないこともあります。神経を残す治療と残さない治療には、それぞれメリットとデメリットがあり、判断基準も存在します。本記事では、歯の神経の役割、神経を残す治療と残さない治療の違い、判断基準、そして神経を守るための予防法について詳しく解説します。
歯の神経とは
まず、歯の神経について基本を理解しましょう。
正式には歯髄といい、歯の中心部にある柔らかい組織です。神経だけでなく、血管、リンパ管、結合組織なども含まれます。
歯髄の役割は複数あります。第一に、感覚を伝えることです。冷たい、熱い、痛いなどの刺激を感知し、脳に伝えます。
第二に、栄養を供給することです。血管を通じて歯に栄養と酸素を運び、老廃物を排出します。
第三に、歯を守ることです。虫歯などの刺激に対して、二次象牙質を作り、神経を守ろうとします。
第四に、免疫機能を果たすことです。細菌の侵入に対して、免疫反応を起こします。
歯髄は、歯を「生きている」状態に保つ重要な組織なのです。
神経を残す治療
神経を残す治療にはいくつかの方法があります。
最も基本的なのは、虫歯が神経に達する前に治療することです。C1やC2の段階で虫歯を削り、詰め物をすれば、神経は無傷のまま残ります。
虫歯が深く、神経に近い場合でも、慎重に治療することで神経を残せることがあります。虫歯を完全に除去すると神経が露出してしまう場合、あえて少量の虫歯を残し、薬で無菌化する間接覆髄という方法があります。
虫歯を削っている最中に、わずかに神経が露出してしまった場合、MTAセメントなどの特殊な薬剤で覆う直接覆髄という方法があります。露出部分が小さく、感染がなければ、神経を残せる可能性があります。
生活歯髄療法(バイタルパルプセラピー)という方法もあります。神経の一部だけが感染している場合、感染部分のみを除去し、残りの健康な神経を残す治療法です。
これらの治療により神経を残せれば、歯は生きた状態を保ち、長持ちします。
神経を残さない治療(根管治療)
神経を残せない場合、根管治療が必要になります。
根管治療とは、感染した神経を完全に取り除き、根の中を清掃して薬を詰める処置です。抜髄といいます。
根管治療の流れは、まず麻酔をして、歯に穴を開け、神経を取り除きます。根の長さを測定し、専用の器具で根の中を拡大しながら清掃します。
根の中を消毒薬で洗浄し、細菌を除去します。この過程を何度か繰り返し、完全に無菌化します。
根の中が完全にきれいになったら、ガッタパーチャという材料で根の中を密閉します。
根管治療後の歯は、神経がないため「失活歯」と呼ばれます。生命活動がない状態です。
根管治療は、深い虫歯、歯髄炎、根尖性歯周炎などの場合に必要になります。
神経を残すメリット
神経を残すことには、多くのメリットがあります。
第一に、歯が強いままです。神経のある歯には栄養が供給され続け、強く健康な状態を保ちます。
第二に、変色しません。神経を取った歯は、時間とともに黒ずんだり茶色く変色したりします。特に前歯では、見た目に影響します。
第三に、割れにくいです。神経のある歯は柔軟性があり、衝撃を吸収できます。神経を取った歯は脆くなり、割れやすくなります。
第四に、異常を感知できます。神経があれば、虫歯や炎症が起こったとき、痛みで気づけます。神経がないと異常に気づきにくく、発見が遅れます。
第五に、治療が簡単です。神経を残せば、虫歯を削って詰めるだけで済みます。根管治療は複雑で、時間も費用もかかります。
神経を取るデメリット
神経を取ることには、いくつかのデメリットがあります。
第一に、歯が脆くなります。栄養供給が途絶え、歯が乾燥し、もろくなります。割れたり欠けたりしやすくなります。
第二に、変色します。時間とともに歯が黒ずみ、審美的な問題が生じます。
第三に、痛みを感じなくなります。これは一見メリットのようですが、実は危険です。異常があっても気づかず、発見が遅れます。
第四に、被せ物が必要になります。神経を取った歯は割れやすいため、多くの場合、全体を覆う被せ物(クラウン)が必要です。これにより、さらに歯を削ることになります。
第五に、再感染のリスクがあります。根管治療が不完全だと、根の先に膿が溜まり、再治療が必要になることがあります。
第六に、寿命が短くなります。研究によれば、神経を取った歯の寿命は、神経のある歯より短いことが示されています。
神経を取るべき場合
では、どのような場合に神経を取る必要があるのでしょうか。
第一に、虫歯が神経に達し、激しい痛みがある場合です。神経が炎症を起こしている歯髄炎の状態では、神経を取らなければ痛みが治まりません。
第二に、神経が既に死んでいる場合です。痛みが消えたから治ったと思っていても、実は神経が死んでいることがあります。この場合、根管治療が必要です。
第三に、根の先に膿が溜まっている場合です。根尖性歯周炎という状態で、感染が広がるのを防ぐために根管治療が必要です。
第四に、外傷で神経が損傷した場合です。事故などで歯を強く打ち、神経が死んでしまうことがあります。
第五に、被せ物を作る際、歯を大きく削る必要があり、神経が露出してしまう場合です。
これらの場合、神経を残そうとすると、痛みが続く、感染が広がる、歯を失うなどのリスクがあるため、根管治療が選択されます。
神経を残せるかどうかの判断基準
神経を残せるかどうかは、いくつかの基準で判断されます。
第一に、痛みの程度と持続時間です。一時的にしみる程度であれば残せる可能性が高いですが、何もしなくてもズキズキ痛む、夜眠れないほど痛いという場合は、神経を取る必要がある可能性が高いです。
第二に、虫歯の深さです。レントゲンや視診により、虫歯が神経にどれだけ近いか、または達しているかを評価します。
第三に、神経の反応です。冷たいものや熱いもので刺激したとき、どのように反応するかをテストします。反応が過敏すぎる、または全く反応しない場合は、神経に問題がある可能性があります。
第四に、歯の色です。神経が死んでいると、歯が黒ずんだり変色したりします。
第五に、レントゲン所見です。根の先に膿の影が見られる場合、既に神経が死んでいると判断されます。
歯科医師はこれらを総合的に評価し、神経を残せるかどうかを判断します。
境界線のケース
神経を残せるかどうか、微妙な境界線のケースもあります。
虫歯が神経に非常に近いが、まだ達していない場合、まず神経を残す治療を試みます。様子を見て、痛みが出なければ成功、痛みが出れば根管治療に移行します。
この慎重なアプローチにより、神経を残せる可能性を最大化します。
ただし、患者の希望も考慮されます。「痛みが出たら困るから、最初から神経を取ってほしい」という希望があれば、それも選択肢の一つです。
歯科医師とよく相談し、納得のいく選択をすることが重要です。
神経を残すための最新技術
近年、神経を残すための技術が進歩しています。
MTAセメントという特殊なセメントは、神経を覆う際に使用され、高い成功率を示しています。
レーザー治療により、虫歯を削る際の熱や振動を減らし、神経へのダメージを最小限にできます。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用することで、より精密な治療が可能になり、神経を残せる確率が高まります。
これらの技術を導入している歯科医院では、より多くのケースで神経を残せるようになっています。
神経を守るための予防
最も重要なのは、神経を取る必要がない状態を保つことです。
第一に、定期検診を受けることです。初期の虫歯を発見し、神経に達する前に治療すれば、神経を守れます。
第二に、毎日の丁寧な歯磨きとフロスの使用です。虫歯を予防することが、神経を守る最善の方法です。
第三に、甘いものや酸性の飲食物を控えめにすることです。
第四に、歯ぎしりや食いしばりがある人は、マウスピースを使用して歯を守ります。
第五に、スポーツ時にはマウスガードを着用し、外傷を防ぎます。
まとめ
歯の神経は、歯を生きた状態に保ち、強く健康に維持するために重要です。神経を残すことには多くのメリットがあり、歯科医師はできる限り残す努力をします。
しかし、虫歯が深く神経まで達している場合、激しい痛みがある場合、感染が広がっている場合などは、根管治療により神経を取る必要があります。
神経を残せるかどうかは、虫歯の深さ、痛みの程度、神経の状態などから総合的に判断されます。境界線のケースでは、まず神経を残す治療を試み、様子を見ることもあります。
最も重要なのは、定期検診と予防により、神経を取る必要がない状態を保つことです。初期の虫歯であれば、神経を守りながら治療できます。
神経の治療について不安や疑問がある場合は、遠慮なく歯科医師に相談しましょう。十分な説明を受け、納得した上で治療を受けることが大切です。
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