目次
はじめに
近年、顎が小さい日本人が増えていると言われています。顎が小さいと顔が小さく見えて美容的にはメリットがあるように感じられますが、実は歯並びに大きな影響を与えることをご存知でしょうか。歯科医院で「顎が小さいので歯が並びきらない」と説明された経験がある方もいるかもしれません。この記事では、顎の小ささと歯並びの関係について、原因から影響、そして対策まで詳しく解説していきます。
顎の大きさと歯並びの基本的な関係
歯がきれいに並ぶためには、顎の骨に十分なスペースが必要です。これは、本棚に本を並べる状況に似ています。本棚の幅が十分にあれば本はきれいに並びますが、本棚が小さすぎると本が入りきらず、斜めになったり重なったりしてしまいます。
歯も同じで、顎が小さく歯が並ぶスペースが不足すると、歯が重なり合ったり、ねじれたり、前後にずれたりして、いわゆる「ガタガタの歯並び」や「叢生(そうせい)」と呼ばれる状態になります。また、顎のスペース不足により、親知らずが正常に生えてこられず、埋まったままになることも多くあります。
現代人の顎が小さくなっている理由
食生活の変化
現代人の顎が小さくなっている最も大きな原因は、食生活の変化です。昔の日本人は、玄米や根菜類、干物など、硬くてよく噛む必要のある食べ物を日常的に食べていました。しかし現代の食事は、ハンバーグ、スパゲッティ、カレーライスなど、柔らかくあまり噛まなくても食べられるものが中心になっています。
咀嚼回数が減ると、顎の骨や筋肉への刺激が不足します。顎の骨は、噛む力によって刺激を受けることで成長・発達します。十分な刺激がないと、顎の骨が本来の大きさまで発達せず、小さいままになってしまうのです。
研究によれば、現代人の咀嚼回数は弥生時代と比べて約6分の1まで減少しているとされています。この咀嚼回数の減少が、顎の縮小化に直結していると考えられています。
口呼吸の増加
鼻づまりやアレルギー性鼻炎などにより、口呼吸が習慣化している子どもが増えています。口呼吸をしていると、舌の位置が本来あるべき上顎から下がってしまいます。
正常な鼻呼吸をしている場合、舌は自然と上顎に接触し、その圧力が上顎の成長を促します。しかし口呼吸では、この舌からの刺激が失われ、上顎の十分な発育が妨げられます。その結果、顎が小さくなり、歯が並ぶスペースが不足してしまいます。
遺伝的要因
顎の大きさや形は、遺伝的要因にも大きく影響されます。両親の顎が小さい場合、子どもも小さな顎を受け継ぐ可能性が高くなります。
興味深いことに、父親から大きな歯を、母親から小さな顎を受け継ぐといったように、両親の特徴が混ざり合うことで、より歯並びが悪くなるケースもあります。このような遺伝的要因は避けることができませんが、環境的要因を改善することで、ある程度の対策は可能です。
顎が小さいことによる影響
歯並びへの影響
顎が小さいことの最も直接的な影響は、歯並びの悪化です。スペース不足により、以下のような不正咬合が生じやすくなります。
叢生では、歯が重なり合ったりねじれたりします。特に犬歯が外側に飛び出す「八重歯」は、日本人に多く見られる叢生の典型例です。また、スペース不足で歯が前方に押し出されることで、上顎前突(出っ歯)になることもあります。
さらに、顎が小さいと親知らずが正常に生えるスペースがなく、埋まったままになったり、斜めに生えてきたりします。これが周囲の歯を圧迫し、歯並び全体に影響を与えることもあります。
口腔機能への影響
顎が小さく歯並びが悪いと、咀嚼効率が低下します。食べ物を十分に噛み砕くことができず、消化器官に負担をかける可能性があります。
また、噛み合わせのバランスが崩れることで、特定の歯に過度な負担がかかり、歯の摩耗や破折のリスクが高まります。顎関節にも不適切な力がかかり、顎関節症を引き起こす原因となることもあります。
清掃性の問題
歯が重なり合っている部分は、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。特に歯と歯の間に汚れが溜まりやすく、フロスや歯間ブラシを使用しても完全に清掃することが難しい場合があります。
見た目の問題
歯並びが悪いと、笑顔に自信が持てなくなることがあります。人前で笑うことを避けたり、口元を手で隠したりする習慣がつくこともあります。これは心理的なストレスとなり、社会生活や対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。
顎の成長を促す方法
幼少期からの咀嚼訓練
顎の成長は、特に成長期に大きく進みます。幼少期から硬い食べ物をしっかり噛んで食べる習慣をつけることで、顎の適切な発育を促すことができます。
具体的には、野菜スティック、ナッツ類、煎餅、するめ、根菜類などを積極的に食事に取り入れましょう。食事の際は、一口30回以上噛むことを意識するのも効果的です。また、片側だけで噛む癖がある場合は、両側でバランスよく噛むように心がけることも重要です。
鼻呼吸の確保
口呼吸の習慣がある場合は、まず原因を特定することが大切です。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、扁桃腺肥大などが原因であれば、耳鼻咽喉科での治療が必要です。
鼻の通りが良くなれば、自然と鼻呼吸ができるようになります。意識的に鼻呼吸を心がけ、口を閉じる習慣をつけることも重要です。就寝時に口が開いてしまう場合は、専用のテープなどを使用する方法もあります。
口腔筋機能療法(MFT)
舌や唇、頬などの口腔周囲筋の機能を改善するトレーニングです。正しい舌の位置を習得し、嚥下や発音の際の筋肉の使い方を改善することで、顎の適切な発育を促します。
歯科医院で専門的な指導を受けることができ、自宅でも継続的にトレーニングを行います。特に成長期の子どもに効果的ですが、大人でもある程度の改善が期待できます。
顎が小さい場合の矯正治療
すでに顎の成長が終わっている大人の場合、顎を大きくすることは困難です。しかし、矯正治療によって歯並びを改善することは可能です。
抜歯矯正
スペース不足が著しい場合、小臼歯などを抜歯してスペースを作り、残りの歯をきれいに並べる方法があります。抜歯は避けたいと考える方もいますが、健康な歯を抜くことでより機能的で美しい歯並びを獲得できることも多くあります。
非抜歯矯正
軽度のスペース不足であれば、歯列を横方向や前後方向に拡大することで、抜歯せずに歯を並べることができる場合もあります。ただし、拡大には限界があり、すべてのケースで適用できるわけではありません。
外科的矯正治療
顎の大きさや位置の異常が著しい場合は、外科手術と矯正治療を組み合わせた治療が必要になることもあります。顎の骨を切断して適切な位置に移動させることで、根本的な改善が期待できます。
まとめ
顎の小ささと歯並びには密接な関係があります。現代人の顎が小さくなっている背景には、柔らかい食べ物中心の食生活や口呼吸の増加などの環境要因と、遺伝的要因が関係しています。
顎が小さいと、歯が並ぶスペースが不足し、叢生や上顎前突などの不正咬合が生じやすくなります。これは見た目だけでなく、咀嚼機能や口腔衛生にも影響を及ぼします。
幼少期から硬い食べ物をしっかり噛む習慣をつけ、鼻呼吸を確保することで、顎の適切な発育を促すことができます。すでに顎の成長が終わっている場合でも、矯正治療によって歯並びを改善することは可能です。
顎の大きさや歯並びが気になる方は、早めに歯科医師や矯正歯科医に相談し、適切な対策を講じることをお勧めします。
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