目次
はじめに
無意識のうちに口で呼吸していませんか。実は、口呼吸は口臭や虫歯だけでなく、様々な健康問題を引き起こす原因となります。人間は本来、鼻で呼吸するように設計されていますが、現代人の多くが口呼吸の習慣を持っています。特に睡眠中や集中しているとき、無意識に口が開いて呼吸していることがあります。この何気ない習慣が、口腔内の環境を大きく悪化させ、口臭や虫歯のリスクを高めているのです。本記事では、なぜ口呼吸が口臭や虫歯を招くのか、そのメカニズムを詳しく解説し、改善方法をご紹介します。
口呼吸とは何か
口呼吸とは、文字通り口で呼吸することです。健康な状態では、人間は主に鼻で呼吸します。鼻には呼吸のために特化した様々な機能が備わっているからです。
しかし、鼻詰まりや習慣などにより、口で呼吸する人が増えています。特に睡眠中は無意識に口呼吸になりやすく、朝起きたときに口が乾いている、喉が痛いという症状がある人は、口呼吸をしている可能性が高いです。
口呼吸の人の特徴としては、常に口が少し開いている、いびきをかく、唇が乾燥している、口角が下がっているなどがあります。子どもの場合は、顔つきにも影響が現れることがあり、アデノイド顔貌と呼ばれる特徴的な顔立ちになることもあります。
口呼吸が口臭を引き起こすメカニズム
口呼吸が口臭を引き起こす最大の理由は、口腔内の乾燥です。口で呼吸すると、常に空気が口の中を通過するため、唾液が蒸発してしまいます。
唾液には、口腔内を洗浄し、細菌の繁殖を抑える重要な役割があります。唾液に含まれるリゾチーム、ラクトフェリン、免疫グロブリンなどの成分が、細菌やウイルスから口を守っています。
また、唾液は口腔内のpHを中性に保つ緩衝作用も持っています。食事をすると口の中が酸性に傾きますが、唾液がこれを中和します。この機能により、歯のエナメル質が溶けるのを防いでいます。
口呼吸により唾液が減少すると、これらの機能が低下します。細菌が繁殖しやすくなり、特に嫌気性菌と呼ばれる酸素を嫌う細菌が増加します。これらの細菌がタンパク質を分解する際に、硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物を産生します。これが口臭の主な原因物質です。
さらに、口が乾燥すると舌の表面に舌苔が厚く付着しやすくなります。舌苔は細菌の温床となり、強い口臭を発生させます。
口呼吸の人が朝起きたときに特に口臭が強いのは、就寝中に口呼吸により口の中が極度に乾燥し、細菌が爆発的に増殖するためです。
口呼吸が虫歯を招くメカニズム
口呼吸は虫歯のリスクも大幅に高めます。その理由も、やはり唾液の減少にあります。
唾液には、歯の再石灰化を促進する働きがあります。食事をすると口の中が酸性になり、歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶け出します。これを脱灰といいます。しかし、唾液に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンが、失われたミネラルを歯に補給し、エナメル質を修復します。これが再石灰化です。
口呼吸により唾液が減少すると、この再石灰化作用が十分に働きません。脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が優位になると、虫歯が進行します。
また、唾液には口腔内を洗浄する作用もあります。食べかすや糖分を洗い流すことで、虫歯菌の栄養源を除去します。唾液が不足すると、この自浄作用が低下し、食べかすや糖分が長時間口の中に残ります。
虫歯菌であるミュータンス菌は、糖分をエサにして酸を産生します。この酸が歯を溶かし、虫歯を作ります。口呼吸により口が乾燥していると、産生された酸が唾液で中和されず、長時間歯に触れ続けることになります。
特に前歯は、口呼吸の影響を最も受けやすい部位です。口が開いていると前歯が常に空気にさらされ、乾燥します。そのため、口呼吸の人は前歯の虫歯が多い傾向があります。
歯周病のリスク増加
口呼吸は虫歯だけでなく、歯周病のリスクも高めます。口腔内が乾燥すると、歯周病菌が繁殖しやすい環境になります。
歯周病菌は嫌気性菌で、酸素の少ない環境を好みます。唾液が豊富にあれば、ある程度酸素が供給され、歯周病菌の繁殖が抑えられます。しかし、口呼吸により口が乾燥すると、歯周病菌にとって理想的な環境が整ってしまいます。
歯周病は、歯を支える骨を溶かす恐ろしい病気です。進行すると歯が抜け落ちる原因となります。日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病であり、その予防には唾液の働きが不可欠です。
また、歯周病があると強い口臭を発します。口呼吸により歯周病が悪化すると、口臭もさらに強くなるという悪循環に陥ります。
口腔内環境の悪化
口呼吸により口が乾燥すると、口腔内の細菌バランスが崩れます。健康な口の中には、善玉菌と悪玉菌が共存していますが、そのバランスが保たれています。
しかし、唾液が減少すると、悪玉菌が優位になります。カンジダというカビの一種も繁殖しやすくなり、口内炎や舌の痛みの原因となります。
また、口の中の粘膜も乾燥により傷つきやすくなります。舌がヒリヒリする、口の中が痛い、口内炎ができやすいという症状は、口呼吸による乾燥が原因であることが多いです。
味覚にも影響が出ます。味物質は唾液に溶けて初めて味蕾に届くため、唾液が不足すると味を感じにくくなります。食事が美味しく感じられない、味が薄く感じるという場合、口呼吸による唾液不足が原因かもしれません。
口呼吸になる原因
口呼吸になる原因は様々です。最も一般的なのは、鼻の疾患による鼻詰まりです。アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などがあると、鼻呼吸が困難になり、自然と口呼吸になります。
扁桃腺やアデノイドの肥大も原因の一つです。これらが大きいと気道が狭くなり、鼻呼吸だけでは十分な空気を取り込めないため、口呼吸を併用するようになります。
また、単なる習慣として口呼吸が身についているケースもあります。子どもの頃から口呼吸をしていると、それが癖になり、大人になっても続きます。
姿勢の悪さも関係します。猫背や顎を突き出した姿勢では、気道が狭くなり、口呼吸になりやすくなります。
肥満も口呼吸の原因になります。首周りに脂肪がつくと気道が圧迫され、特に睡眠中に口呼吸やいびきが起こりやすくなります。
口呼吸の改善方法
口呼吸を改善するには、まず原因を特定することが重要です。鼻の疾患がある場合は、耳鼻科を受診して治療を受けましょう。アレルギー性鼻炎の場合は、適切な薬物療法により症状をコントロールできます。
鼻呼吸を意識的に行う習慣をつけることも大切です。日中、気づいたときに口を閉じて鼻で呼吸するよう心がけましょう。最初は意識的に行う必要がありますが、次第に習慣化されます。
鼻呼吸のトレーニングも効果的です。片方の鼻の穴を指で押さえ、もう片方だけで呼吸する練習を繰り返すことで、鼻呼吸の機能が向上します。
就寝時に口を閉じるためのサポートグッズもあります。医療用テープを唇に貼って口が開かないようにする方法や、口呼吸防止用のマウステープなどが市販されています。ただし、鼻が完全に詰まっている状態で使用すると危険なため、まず鼻の治療を優先してください。
姿勢の改善も重要です。背筋を伸ばし、顎を引いた正しい姿勢を保つことで、気道が確保され、鼻呼吸がしやすくなります。
ダイエットも効果があります。適正体重を維持することで、気道の圧迫が解消され、呼吸が楽になります。
口周りの筋肉を鍛えることも有効です。あいうえお体操や、口を閉じて舌を上顎に押し付ける運動などを行うと、口を閉じる力が強くなります。
子どもの口呼吸への対処
子どもの口呼吸は、将来的な顔の発育や歯並びにも影響を与えるため、早期の対処が重要です。
子どもが常に口を開けている、いびきをかく、寝相が悪い、寝起きが悪いといった症状がある場合は、口呼吸の可能性があります。早めに小児科や耳鼻科を受診しましょう。
鼻の疾患がある場合は適切な治療を受け、日常生活では鼻をかむ習慣をつけさせることも大切です。
食事の際によく噛むことを教えることも重要です。柔らかいものばかり食べていると、口周りや顎の筋肉が十分に発達せず、口が開きやすくなります。
まとめ
口呼吸は、口腔内の乾燥を引き起こし、唾液の重要な機能を低下させます。その結果、細菌が繁殖して口臭が発生し、虫歯や歯周病のリスクも大幅に高まります。
口呼吸の原因は様々ですが、鼻の疾患がある場合は耳鼻科での治療が必要です。また、日常的に鼻呼吸を意識し、姿勢を正し、口周りの筋肉を鍛えることで改善できます。
鼻呼吸は、口臭や虫歯の予防だけでなく、免疫機能の向上や睡眠の質の改善など、全身の健康にも良い影響を与えます。口呼吸の習慣がある方は、今日から改善に取り組んでみてください。
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