
はじめに
歯科医院で「歯石が付いていますね」と言われたことがある方は多いのではないでしょうか。歯石は、誰にでもできる可能性がある口腔内の問題です。毎日丁寧に歯を磨いているつもりでも、いつの間にか歯石が付着していることがあります。歯石は単なる汚れではなく、虫歯や歯周病の原因となる深刻な問題です。また、一度できてしまった歯石は、どんなに頑張っても自分では取り除くことができません。市販の器具を使って無理に取ろうとすると、歯や歯茎を傷つける危険性もあります。本記事では、歯石がどのようにしてできるのか、なぜ自分では取れないのか、そして歯石を予防するための方法について詳しく解説します。歯石について正しく理解し、適切なケアを行うことで、口腔内の健康を守りましょう。
歯石とは何か
まず、歯石がどのようなものなのかを理解しておきましょう。
歯石とは、プラーク(歯垢)が石灰化して硬くなったものです。プラークは細菌の塊で、柔らかく粘着性がありますが、歯石は石のように硬く、歯にしっかりと付着しています。
歯石の成分は、主にリン酸カルシウムなどの無機質です。唾液中のカルシウムやリン酸がプラークに沈着し、時間をかけて硬化していきます。
歯石には、歯茎より上にできる「歯肉縁上歯石」と、歯茎の下、つまり歯周ポケットの中にできる「歯肉縁下歯石」の2種類があります。
歯肉縁上歯石は白色や黄色で、比較的見えやすいのが特徴です。一方、歯肉縁下歯石は黒褐色で、歯茎に隠れているため見えにくく、より問題が深刻です。
歯石ができるメカニズム
歯石は、段階を追って形成されます。
ステップ1:プラークの形成
食事をすると、食べカスや糖分が口の中に残ります。これを栄養源として、口の中の細菌が増殖し、歯の表面にネバネバした膜を作ります。これがプラークです。
プラークは、食後数時間で形成され始めます。歯を磨かずにいると、8時間から12時間程度で成熟したプラークになります。
ステップ2:石灰化の開始
プラークが歯の表面に付着したまま放置されると、唾液中に含まれるカルシウムやリン酸などのミネラルがプラークに沈着し始めます。
この石灰化は、プラークができてから24時間から48時間程度で始まると言われています。つまり、プラークを放置して2日経つと、歯石になり始めるのです。
ステップ3:歯石の完成
石灰化が進むと、プラークは徐々に硬くなり、数日から数週間かけて完全な歯石になります。一度歯石になってしまうと、非常に硬く、歯にしっかりと付着します。
歯石の表面はザラザラしており、そこにさらにプラークが付きやすくなります。つまり、歯石があると新たなプラークが溜まりやすく、悪循環が生じます。
歯石ができやすい場所
歯石は、特定の場所にできやすい傾向があります。
下の前歯の裏側
最も歯石ができやすいのが、下の前歯の裏側です。この部分には、舌の下にある唾液腺の開口部があり、唾液が豊富に出ます。
唾液にはカルシウムやリン酸が含まれているため、唾液が多く触れる部分は歯石ができやすいのです。鏡で確認すると、白っぽい固まりが見えることがあります。
上の奥歯の頬側
上の奥歯の頬側にも、耳下腺という唾液腺の開口部があります。ここも唾液が豊富に出るため、歯石ができやすい場所です。
歯と歯の間
歯ブラシが届きにくい歯と歯の間も、プラークが残りやすく、歯石ができやすい場所です。
歯周ポケットの中
歯茎の下、歯周ポケットの中にできる歯肉縁下歯石は、目には見えませんが、歯周病を悪化させる大きな原因となります。
歯石が引き起こす問題
歯石は単なる汚れではなく、さまざまな問題を引き起こします。
虫歯のリスク増加
歯石の表面はザラザラしており、プラークが付着しやすくなります。プラークが増えると、虫歯のリスクが高まります。
歯周病の原因
歯石は、歯周病の主要な原因です。歯石に付着したプラーク中の細菌が、歯茎に炎症を引き起こします。
特に歯茎の下にできる歯肉縁下歯石は、歯周病を急速に進行させます。歯石があると、歯周ポケットがどんどん深くなり、最終的には歯を失うことにつながります。
口臭の原因
歯石に付着した細菌が、口臭の原因となる物質を産生します。歯石が多いと、口臭も強くなる傾向があります。
審美的な問題
歯石は見た目も良くありません。特に前歯に白や黄色の歯石が付いていると、不潔な印象を与えてしまいます。
自分では歯石を取れない理由
歯石は、自分では取り除くことができません。その理由を解説します。
非常に硬い
歯石は石のように硬く、歯ブラシでこすっても全く取れません。爪や爪楊枝で削ろうとしても、びくともしません。
歯にしっかりと接着しているため、素人が簡単に取り除けるものではないのです。
専門的な器具が必要
歯石を除去するには、スケーラーという専用の器具が必要です。歯科医院では、手用スケーラーや超音波スケーラーなどを使って、歯石を削り取ります。
これらの器具は、鋭利で硬い刃を持ち、歯石と歯の接着面を正確に剥がすように設計されています。
専門的な技術が必要
歯石除去は、単に器具があれば誰でもできるものではありません。歯や歯茎を傷つけずに、効率的に歯石だけを除去するには、歯科医師や歯科衛生士の専門的な技術と知識が必要です。
どこに歯石があるのか、どの角度でどのくらいの力で器具を当てるべきか、これらを判断するには、専門的な訓練が必要です。
見えない場所の歯石
歯茎の下にできる歯肉縁下歯石は、目で見ることができません。歯周ポケット内を探りながら、手の感覚だけで歯石を見つけ出し、除去する必要があります。
これは素人には不可能な作業です。
自己除去の危険性
市販の歯石取り器具を使って自分で歯石を取ろうとすると、さまざまな危険があります。
歯の表面のエナメル質を傷つけたり、削りすぎたりする可能性があります。歯茎を傷つけて出血させたり、感染を引き起こしたりすることもあります。
また、歯石を不完全に削ると、残った歯石の縁が鋭くなり、かえって歯茎を傷つけやすくなります。
誤って神経に近い部分まで削ってしまうと、知覚過敏や痛みを引き起こすこともあります。
歯石を予防する方法
歯石は、できてしまったら自分では取れませんが、予防することは可能です。
毎日の丁寧な歯磨き
歯石の元となるプラークを、毎日しっかり除去することが最も重要です。食後と就寝前、1日2回から3回、1回3分以上かけて丁寧に磨きましょう。
特に歯石ができやすい下の前歯の裏側や上の奥歯は、意識して念入りに磨きます。
デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークは除去できません。デンタルフロスや歯間ブラシを毎日使用し、歯ブラシが届かない部分もケアしましょう。
食後の口すすぎ
外出先など、すぐに歯を磨けない場合は、食後に水で口をすすぐだけでも効果があります。食べカスを洗い流し、プラークの形成を遅らせることができます。
定期的な歯科検診
どんなに丁寧に磨いても、完璧に汚れを落とすことは困難です。3ヶ月から6ヶ月に1回、歯科医院で定期検診を受け、プロフェッショナルクリーニングで歯石を除去してもらいましょう。
定期的に歯石を除去することで、虫歯や歯周病を予防できます。
唾液の分泌を促す
唾液には、口の中を洗い流す自浄作用がありますが、一方で歯石の材料となるミネラルも含まれています。バランスが大切ですが、よく噛んで食べることで唾液の分泌を促し、口腔内を清潔に保ちましょう。
歯科医院での歯石除去
歯科医院では、以下のような方法で歯石を除去します。
スケーリング
手用スケーラーや超音波スケーラーを使って、歯の表面や歯茎の上の歯石を除去します。超音波の振動で歯石を砕き、水で洗い流します。
ルートプレーニング
歯茎の下、歯周ポケット内の歯石を除去し、歯の根の表面を滑らかにする処置です。麻酔を使用することもあります。
歯石除去は保険適用で、比較的安価に受けることができます。
まとめ
歯石は、プラークが石灰化して硬くなったもので、24時間から48時間で形成され始めます。下の前歯の裏側や上の奥歯など、唾液が多く触れる場所にできやすく、虫歯や歯周病の原因となります。歯石は非常に硬く、専門的な器具と技術が必要なため、自分では取り除くことができません。市販の器具で無理に取ろうとすると、歯や歯茎を傷つける危険性があります。歯石を予防するには、毎日の丁寧な歯磨きとデンタルフロスの使用が重要です。また、3ヶ月から6ヶ月に1回、歯科医院で定期的に歯石除去を受けましょう。自分でできる予防と、専門家によるケアの両方が、口腔の健康を守る鍵です。
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