
目次
はじめに
子どもの歯の健康は、保護者にとって大きな関心事の一つです。乳歯は生え変わるから虫歯になっても大丈夫と考える方もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。乳歯の虫歯は、永久歯の歯並びや発育に影響を及ぼすだけでなく、食事や発音、さらには全身の成長にも関わってきます。子どもの虫歯には、特にリスクが高くなる時期があり、その時期に適切な予防策を講じることが重要です。本記事では、子どもの虫歯が増えやすい時期とその理由、そして各時期に応じた効果的な予防方法について詳しく解説します。正しい知識を持って早期から対策を行うことで、子どもの歯を虫歯から守り、健康な口腔環境を育てることができます。
子どもの虫歯が増えやすい3つの時期
子どもの虫歯は、成長の過程で特に注意すべき3つの時期があります。
第一の時期:1歳半から2歳半(乳歯が生え揃う時期)
この時期は、奥歯を含む乳歯が次々と生えてくる時期です。奥歯は溝が深く複雑な形をしているため、食べカスが詰まりやすく、虫歯になりやすい特徴があります。
また、この時期から甘い食べ物や飲み物を口にする機会が増え、虫歯のリスクが高まります。離乳食から幼児食への移行期でもあり、食生活の変化が虫歯の原因となることがあります。
さらに、1歳半頃から虫歯菌(ミュータンス菌)が定着しやすい時期でもあります。この菌は主に保護者から感染するため、食器の共有やキスなどを通じて子どもに移ります。
第二の時期:4歳から5歳(乳歯の虫歯が進行しやすい時期)
4歳から5歳になると、乳歯が全て生え揃い、奥歯と奥歯の間に虫歯ができやすくなります。子ども自身で歯磨きをするようになる時期ですが、まだ完璧に磨けるわけではないため、磨き残しが多くなります。
また、幼稚園や保育園で友達と一緒におやつを食べる機会が増え、甘いものを口にする頻度も上がります。集団生活の中で、食後すぐに歯を磨く習慣が定着していないことも、虫歯のリスクを高める要因です。
第三の時期:6歳から12歳(永久歯への生え変わり時期)
6歳頃になると、最初の永久歯である「6歳臼歯」が生えてきます。この歯は最も大きく、噛む力の中心となる重要な歯ですが、乳歯の奥にひっそりと生えてくるため、気づきにくく、磨き残しが多い部分です。
生えたばかりの永久歯は、エナメル質が未成熟で柔らかく、虫歯になりやすい状態です。完全に硬くなるまでには2年から3年かかるため、この期間は特に注意が必要です。
また、乳歯と永久歯が混在する時期は、歯の高さが不揃いで歯ブラシが届きにくく、虫歯のリスクが高まります。
各時期の予防方法
それぞれの時期に応じた、効果的な虫歯予防方法をご紹介します。
1歳半から2歳半の予防方法
この時期の予防の鍵は、虫歯菌の感染を防ぐことと、正しい食習慣を身につけることです。
保護者の口腔ケアをしっかり行い、虫歯菌の数を減らすことが重要です。食器やスプーンの共有を避け、口移しや同じ箸の使用も控えましょう。ただし、過度に神経質になる必要はなく、バランスが大切です。
甘い飲み物、特にジュースやイオン飲料を哺乳瓶で与えることは避けてください。寝る前や寝ながらの哺乳瓶の使用は、「哺乳瓶虫歯」の原因になります。
歯磨きは、保護者が仕上げ磨きを必ず行いましょう。この時期の子どもは自分で十分に磨けないため、毎食後、特に就寝前の仕上げ磨きが重要です。フッ素入り歯磨き粉を米粒程度使用すると効果的です。
1歳半頃から歯科医院での定期検診を開始し、フッ素塗布を受けることも虫歯予防に有効です。
4歳から5歳の予防方法
この時期は、子ども自身が歯磨きの習慣を身につけることと、間食のコントロールが重要です。
子どもに歯磨きの大切さを教え、自分で磨く習慣をつけさせましょう。ただし、まだ完璧には磨けないため、必ず保護者が仕上げ磨きを行ってください。特に奥歯の噛む面や、歯と歯の間は念入りに磨きます。
おやつの時間を決め、ダラダラ食べを避けることが大切です。甘いものを食べたら、水で口をすすぐか、歯を磨く習慣をつけましょう。
デンタルフロスの使用を始めるのもこの時期です。奥歯と奥歯の間は歯ブラシだけでは届かないため、保護者がフロスを使ってケアしてあげましょう。
定期的な歯科検診を継続し、3ヶ月から6ヶ月に1回のフッ素塗布を受けることをおすすめします。
6歳から12歳の予防方法
この時期は、6歳臼歯のケアと、子ども自身の口腔ケア意識を高めることがポイントです。
6歳臼歯が生えてきたら、特に念入りに磨くよう指導しましょう。奥にあるため磨きにくく、歯ブラシを斜めから当てるなど、工夫が必要です。保護者が確認し、磨き残しがないかチェックしてください。
シーラントという予防処置も効果的です。シーラントは、奥歯の溝をプラスチックで埋めて虫歯を予防する方法で、特に6歳臼歯に有効です。歯科医院で相談してみましょう。
この年齢になると、子ども自身が虫歯予防の重要性を理解できるようになります。鏡を見ながら自分で磨く練習をさせ、磨き残しが多い場所を教えてあげましょう。
フッ素洗口液の使用も検討できます。フッ素入り歯磨き粉に加えて、フッ素洗口液を使うことで、より効果的に虫歯を予防できます。
定期検診では、歯並びのチェックも重要です。歯並びが悪いと虫歯になりやすいため、必要に応じて矯正治療を検討することも大切です。
日常生活でできる虫歯予防
時期を問わず、日常生活で実践できる虫歯予防の基本をご紹介します。
正しい歯磨き習慣
毎食後と就寝前の歯磨きを習慣づけることが基本です。特に就寝前の歯磨きは最も重要です。睡眠中は唾液の分泌が減少し、虫歯菌が繁殖しやすくなるためです。
歯ブラシは子どもの年齢に合ったサイズを選び、毛先が広がったら交換しましょう。フッ素入り歯磨き粉を年齢に応じた適量使用することも大切です。
食生活の管理
糖分の多いお菓子やジュースは、できるだけ控えめにしましょう。完全に禁止する必要はありませんが、量と頻度をコントロールすることが重要です。
ダラダラ食べをせず、おやつの時間を決めることで、口の中が酸性になる時間を限定できます。おやつの後は水で口をすすぐか、歯を磨く習慣をつけましょう。
キシリトール入りのガムやタブレットは、虫歯予防に効果的です。食後に噛むことで、唾液の分泌を促し、口の中を中性に戻す働きがあります。
定期的な歯科検診
3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、虫歯の早期発見・早期治療が可能になります。また、フッ素塗布やシーラントなどの予防処置も受けられます。
歯科医師や歯科衛生士から、子どもの成長段階に応じた適切なブラッシング指導を受けることも、虫歯予防に大いに役立ちます。
乳歯の虫歯を放置するリスク
「どうせ生え変わるから」と乳歯の虫歯を放置するのは危険です。乳歯の虫歯には、以下のようなリスクがあります。
乳歯の虫歯が進行して歯の根に膿が溜まると、その下で育っている永久歯の発育に悪影響を及ぼします。永久歯が変色したり、形成不全を起こしたりすることがあります。
虫歯で乳歯を早期に失うと、隣の歯が倒れてきて、永久歯が生えるスペースがなくなります。その結果、歯並びが悪くなり、将来的に矯正治療が必要になることもあります。
虫歯で痛みがあると、よく噛めなくなり、栄養摂取が偏ります。また、発音にも影響が出ることがあります。
虫歯が多いと、口の中の虫歯菌の数が増え、生えてくる永久歯も虫歯になりやすい環境になります。
保護者の役割
子どもの虫歯予防において、保護者の役割は非常に重要です。
小学校中学年頃までは、子ども一人では完璧に歯を磨けません。必ず保護者が仕上げ磨きを行い、磨き残しをチェックしましょう。
子どもに虫歯予防の大切さを教え、自分で口腔ケアができるように導くことも重要です。楽しく歯磨きができるよう、工夫してあげましょう。
また、保護者自身が定期的に歯科検診を受け、口腔ケアを怠らないことも、子どもの手本となります。
まとめ
子どもの虫歯が増えやすい時期は、1歳半から2歳半の乳歯が生え揃う時期、4歳から5歳の乳歯の虫歯が進行しやすい時期、6歳から12歳の永久歯への生え変わり時期の3つです。各時期に応じた適切な予防方法を実践することが重要です。虫歯菌の感染予防、正しい歯磨き習慣、食生活の管理、定期的な歯科検診が基本となります。乳歯の虫歯は永久歯にも影響するため、決して軽視せず、早期から予防に取り組みましょう。保護者の適切なサポートが、子どもの健康な歯を育てます。
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