目次
はじめに
「歯医者に行くよ」と伝えた途端、子どもが泣き出してしまう。多くの親御さんが経験する光景ではないでしょうか。子どもにとって歯科医院は、見慣れない器具や独特の音、匂いなど、不安要素がたくさんある場所です。しかし、最近の小児歯科では、子どもが怖がらずに治療を受けられるよう、さまざまな工夫が凝らされています。また、家庭でできる準備や声かけの方法を知ることで、スムーズな受診につながります。この記事では、小児歯科で実践されている泣かない工夫と、親御さんができるサポート方法について詳しく解説していきます。子どもの歯科恐怖症を予防し、生涯にわたって歯の健康を守る習慣づくりの第一歩としましょう。
小児歯科の環境づくり
明るく楽しい待合室
現代の小児歯科の待合室は、子どもが楽しく過ごせる空間になっています。カラフルな内装、絵本やおもちゃが置かれたキッズスペース、アニメが流れるモニター、アクアリウムなど、子どもの興味を引く工夫が随所に見られます。中には、歯医者さんごっこができる玩具を置いている医院もあります。待ち時間を楽しく過ごすことで、緊張をほぐし、リラックスした状態で診察室に入れるようになります。
親しみやすい診察室
診察室も子どもが怖がらないよう工夫されています。天井にアニメキャラクターのシールが貼ってあったり、モニターでアニメや動画を見られたりする医院が増えています。壁の色も優しいパステルカラーを使用し、圧迫感を軽減しています。また、診療台の隣に親御さんが座れる椅子を配置し、子どもが常に親の顔を見られるようにしている医院も多いです。
スタッフの服装と雰囲気
白衣は子どもに恐怖心を与えることがあるため、小児歯科のスタッフは明るい色のユニフォームやエプロンを着用していることが多いです。キャラクターの刺繍が入っていたり、カラフルな柄だったりと、親しみやすさを重視しています。また、スタッフは常に笑顔で優しい口調で接し、子どもの緊張を和らげる雰囲気づくりをしています。
Tell-Show-Do法(説明・実演・実行)
段階的なアプローチ
小児歯科で広く実践されている方法が、Tell-Show-Do法です。これは、いきなり治療を始めるのではなく、三段階で子どもに理解させながら進める手法です。まずTell(説明)で、これから何をするのかを子どもに分かりやすい言葉で伝えます。次にShow(実演)で、実際に器具を見せたり、音を聞かせたりします。最後にDo(実行)で、実際の治療を行います。
具体的な実践例
例えば、歯を削る治療の場合、「これから虫バイキンをやっつける掃除機を使うよ」と説明し(Tell)、実際に器具を見せて「シューっと音がするよ。ちょっと手に当ててみようか」と体験させ(Show)、その後に実際に歯に当てます(Do)。このように段階を踏むことで、子どもは何が起こるか予測でき、不安が軽減されます。
子どもの理解度に合わせた説明
年齢や発達段階に応じて、説明の仕方を変えることも重要です。幼児には、「バイキンをやっつける」「お口の中をピカピカにする」といった比喩表現を使います。小学生以上には、より具体的に「虫歯の部分を取り除いて、白い材料で埋めるよ」といった説明をします。子どもが理解できる言葉を選ぶことで、協力を得やすくなります。
痛みを軽減する技術
表面麻酔の使用
注射の痛みを軽減するため、針を刺す前に歯茎の表面に麻酔のジェルやスプレーを塗布します。これにより、針が刺さる瞬間の痛みがほとんど感じられなくなります。表面麻酔は「甘いジェルを塗るよ」「ちょっと冷たいお薬をつけるね」と説明し、子どもの恐怖心を和らげます。
極細針と電動注射器
最近の小児歯科では、通常よりも細い針を使用することが増えています。針が細いほど痛みは少なくなります。また、電動注射器を使用することで、麻酔液を一定の速度でゆっくり注入でき、圧力による痛みを軽減できます。手動の注射器では速度にムラが出やすく、痛みを感じやすくなるためです。
痛みの少ない治療法の選択
できるだけ痛みの少ない治療法を選択することも重要です。初期の虫歯であれば、削らずにフッ素塗布や予防処置で対応できる場合もあります。また、レーザー治療を導入している医院では、従来の切削器具よりも痛みの少ない治療が可能です。子どもの負担を最小限にする治療計画を立てることが大切です。
心理的アプローチ
ポジティブな言葉選び
子どもに対する言葉遣いは非常に重要です。「痛い」「怖い」といったネガティブな言葉は避け、「ちょっとくすぐったいかもしれないよ」「少しだけ押す感じがするよ」といった穏やかな表現を使います。また、「虫バイキンをやっつける」「お口の中のお掃除」など、子どもがイメージしやすいポジティブな言葉に置き換えます。
褒める・認める
治療中や治療後に、積極的に子どもを褒めることが重要です。「よく頑張ったね」「お口を大きく開けられたね」「じっとしていられてすごいよ」など、具体的に褒めます。小さな成功体験を積み重ねることで、子どもは自信を持ち、次回の受診への不安が減ります。治療後にはご褒美シールや小さなおもちゃをプレゼントする医院も多いです。
選択肢を与える
子どもに小さな選択肢を与えることで、コントロール感を持たせることができます。「座る椅子はどっちがいい?」「口を開けるときの合図は何にする?」など、治療とは直接関係ない部分で選択させます。自分で決められることがあると、子どもは安心し、協力的になりやすいです。
段階的なトレーニング
最初は慣れることから
初めての受診では、いきなり治療をせず、まずは歯科医院に慣れることを目標にします。診察室を見学したり、椅子に座ってみたり、器具を触ってみたりするだけで終わることもあります。焦らず、子どもが歯科医院に慣れるまで時間をかけることが、長期的には治療をスムーズに進めるポイントです。
簡単な処置から始める
治療が必要な場合も、いきなり難しい処置は行いません。まずは歯のクリーニングやフッ素塗布など、痛みのない簡単な処置から始めます。これらの処置を通じて、「歯医者さんは怖くない」という経験を積み重ねます。その上で、必要に応じて少しずつ本格的な治療に進んでいきます。
短時間で終わらせる工夫
子どもの集中力は長く続きません。できるだけ短時間で治療を終えられるよう工夫します。一度に多くの処置をするのではなく、複数回に分けることもあります。治療時間が長引くと、子どもの我慢の限界を超えてしまい、次回以降の受診が困難になることがあるためです。
親御さんができるサポート
受診前の準備
家庭でできる準備も重要です。受診前に「歯をピカピカにしてもらおうね」「優しい先生が見てくれるよ」とポジティブに伝えます。「痛くないからね」という言葉は、逆に「痛いのでは?」という不安を引き起こすため避けましょう。また、歯医者さんに関する絵本を読んだり、歯医者さんごっこをして遊んだりすることも効果的です。
受診中の親の態度
診察室では、親御さんが落ち着いて穏やかに接することが大切です。親が不安そうにしていると、その緊張が子どもに伝わります。子どもが泣いても、「泣かないで!」と叱るのではなく、「大丈夫だよ」と優しく見守りましょう。また、過度に心配そうに見つめるのも、子どもの不安を増大させることがあります。
治療後の関わり方
治療が終わったら、たくさん褒めてあげましょう。「よく頑張ったね」「かっこよかったよ」と具体的に褒めます。また、「次も頑張ろうね」ではなく、「次はもっと楽になるよ」とポジティブな見通しを伝えます。治療後のご褒美として、特別な時間を過ごしたり、好きな遊びをしたりすることも、次回への動機づけになります。
してはいけない言動
「言うことを聞かないと歯医者さんに連れて行くよ」といった脅し文句は絶対に避けましょう。歯科医院を罰の場所として認識させてしまい、歯科恐怖症の原因になります。また、「頑張れ」という言葉も、プレッシャーになることがあるため、状況に応じて使い分けましょう。
年齢別のアプローチ
乳幼児期(1歳から3歳)
この時期は、歯科医院に慣れることが最優先です。親御さんの膝の上に座らせたり、抱っこしたまま診察を受けたりすることもあります。短時間で終わる検診やフッ素塗布から始め、歯科医院が楽しい場所だという印象を持たせます。泣いてしまうのは当然と捉え、焦らず少しずつ慣らしていきます。
幼児期(4歳から6歳)
言葉の理解が進むため、簡単な説明で協力を得やすくなります。ただし、まだ我慢できる時間は短いため、治療は手早く行います。「5数えるまで頑張ろう」「もう少しだけだよ」など、ゴールを示すことが効果的です。また、この時期は褒められることが大きなモチベーションになるため、積極的に褒めます。
学童期(7歳以上)
理解力が高まり、より詳しい説明が可能になります。虫歯のメカニズムや治療の必要性を伝えることで、自発的な協力が得られやすくなります。また、自尊心が育つ時期なので、「お兄さん・お姉さんだから上手にできるよ」といった声かけが効果的です。治療への参加意識を持たせることも大切です。
まとめ
小児歯科では、子どもが泣かずに治療を受けられるよう、環境づくりから治療技術まで、さまざまな工夫が凝らされています。明るく楽しい院内環境、Tell-Show-Do法による段階的なアプローチ、痛みを最小限にする技術、ポジティブな言葉選びと褒める姿勢など、総合的な配慮がなされています。
家庭でも、受診前のポジティブな声かけ、受診中の穏やかな見守り、治療後のたくさんの褒め言葉など、親御さんができるサポートがあります。歯科医院を脅しの道具にしないこと、子どもの不安に寄り添うことが重要です。焦らず、子どものペースに合わせて少しずつ慣らしていくことで、生涯にわたって歯科医院に通える習慣が身につきます。早期から定期的な受診を習慣化し、子どもの歯の健康を守りましょう。
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